スウィングジャズのスタードラマー
ジーン・クルーパ(Gene Krupa)はスィングジャズのスターとして活躍した伝説的なドラマーです。クルーパは世界で初めてドラマーを単なる伴奏楽器者からフロントスターへと押し上げた偉大な人物です。
「ローリングストーン誌が選ぶ史上最も偉大な100人のドラマー」第7位。
ジーン・クルーパのプロフィール
1909年1月15日〜1973年10月16日(満64歳没)
米国イリノイ州シカゴ出身
ジャンル:スウィングジャズ
ジーン・クルーパは9人兄弟の末っ子として生まれ、幼いころから楽器に親しんでいました。そしてドラムのモーラー奏法で有名なサンフォード・モーラやズディ・シングルトンなどに師事します。そして1927年からはシカゴの楽団で演奏活動を始め、その個性的なドラミングで人気を得ます。そして1934年には有名なベニーグッドマン楽団に入団します。ここでの成功でジーン・クルーパはスタードラマーとしての地位を確立します。
ベニーグッドマン楽団後は自らのジーン・クルーパ楽団を設立し多くの才能ある若手を発掘します。人種差別が強い時代でしたが、白人のクルーパは黒人のプレイヤーも差別することなく歓迎します。単なる一プレイヤーとしてだけでなく、バンドオーガナイザーとしての才能も高いものでした。また、映画にも出演するなど非常に多才でまさにスターとして活躍します。そのスター性で数多くのドラマーに影響を与え、その後の音楽に多大な影響を与えました。その影響はジャズだけに留まらず、ロックを始め数多くのジャンルのドラマーがジーン・クルーパをアイドルだと答えています。
ジーン・クルーパのプレイスタイル
ジーン・クルーパのプレイはとにかくバンドを盛り立てます。そして常に全力で熱く演奏します。その姿が多くの人の心を打つのでしょう。1ステージ終わったあとには全身汗だくになるそうです。あまり細かいテクニックを使うわけではないですが、非常に説得力のあるドラムです。笑顔で全身を思い切り使った演奏スタイルは聴衆の心をとても掴みました。バディー・リッチと長年良きライバル関係にありましたが、ドラムバトルでも見劣りすることはありませんでした。
また、「シング・シング・シング」の演奏でも非常に有名です。今日のビッグバンドジャズの定番曲である「シング・シング・シング」のあのドラミングを作ったのがジーン・クルーパです。あの躍動的でノリのいいドラムやソロは今でも多くのドラマーがコピーしています。テクニック的にあまり難しいことはしていないのに、圧倒的存在感があるのがジーン・クルーパの演奏です。当時の他のドラマーと比較すると目立ち具合が全く違うので、当時どれだけ凄かったかが分かります。世界最初のスタードラマー、それがジーン・クルーパです。
ジーン・クルーパの動画
ジーン・クルーパの情熱的なドラムソロ。
ビッグバンドジャズの不朽の名曲。「シング・シング・シング」。やっぱりかっこいいですね。
こちらは映画のワンシーン。芸達者ぶりが見れる。
ジーン・クルーパ楽団でのブラシ演奏。非常にメロディックで陽気な人柄が出ている。
バディ・リッチとのドラムバトル。テクニックでは分が悪いが存在感は負けてない。
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