掃除

体の動かし方

掃除はみんなですれば早く終わる。ドラムの体の使い方の話です。

少し変わったタイトルですが、これはドラムの体の使い方に関しての比喩表現です。
今回は体を総動員してドラムを演奏する事の大切さを説明していきます。

体みんなでドラムを叩く

「掃除はみんなですれば早く終わる」とは「体あちこち全部を使ってドラムを叩けば効率よく叩ける」というような意味です。

あなたはドラムを叩く時に手や腕だけを使って叩いてないでしょうか?
せっかく大きな筋肉である体幹を持っているのにそれを使わないのはもったいないことです。
体の中全部をバラバラに同時並行で動かす。
こうすることにより、どこか一つに負担がかかることがなくなり、楽にドラムを叩けるようになるのです。

「体全てを効率よくつかってドラムを叩く」ことが大切なのです。

手が出しゃばり過ぎる

手や指は体の中でも特に器用な部位になります。
感覚的にも敏感で、細かい作業が出来ます。
しかし、その為に「出しゃばり過ぎる」という一面も持っているのです。

何でもかんでも手や指でやってしまう。」ということが起きやすいのです。
本来であれば、上腕や肩関節、背中の筋肉や胸の筋肉を使って演奏した方が効率的なのに、「手」のみでやってしまおうとする。
そうすると、過度な負担がかかって怪我しやすくなったりしてしまうのです。

広背筋や大胸筋は大きな筋肉ですが、体の姿勢を維持する為の筋肉ではありません。
腕を動かすための筋肉」です。
これらの筋肉を効率よく使わないことは、宝の持ち腐れと言える行為です。

手

体の動きを感じる

では体全体を使ってドラムを叩くとは具体的にどうすればいいのでしょうか。
実はこの答えにはっきりとした「マニュアル」はありません。

なぜかというと、体の中では様々な「筋肉」「骨格」「関節」等がとても複雑に関係していて、それらをどう動かせばいいかというのは感覚的に分かったとしても言葉にして説明するのは不可能に近いからです。
体の中の微妙な動きや感覚を完全に説明するのは非常に困難です。

ではどうすればいいのか?
それは「自分の体の動きを感じながら、いろんな動きを試してみるということが会得への道となります。

「自分の体をこういう風に動かした時は、こういう感じになるのか。これは楽だな」といったことを、発見していくのです。
「手首だけを意識すると腕が痛くなっていたが、前腕、上腕、肩、首筋まで意識して叩いたほうが楽だな」なんてことが分かるようになっていくのです。

ボディマッピングを変える

ただ、本当に感覚だけを頼りに試行錯誤を試すよりは「正しい知識」を持って取り組んだ方が効率的です。
正しい知識とは、「体の正しい構造」を知る事です。

体の関節の位置や筋肉の位置や作用を「知識」として持っておけば、間違ったボディマッピングをする危険性が低くなります。
ボディマッピングとは、頭の中にある「体の地図」のことです。

「体の地図」が頭の中と実際の位置で食い違っていては、現実とイメージのズレが生じてしまいます。
体の正しい構造を知る事で、より楽に効率良く体を動かせるようになります。

骨

意識するというよりは見る

また、体の動きを感じる時に注意点があります。
こうしなければいけない」とは思わないようにしてください

「力が入ってはいけない」と意識すればするほど、逆に力が入ってしまいます。
「緊張してはいけない」と思うほど緊張してこないでしょうか?
人間は恐怖に集中するほど、恐怖に吸い寄せられてしまうのです

では、どうすればいいかと言いますと、「ただ、見る」ことが効果的です。
「ああ、こんな風に動いた時は腕に負担がかかってるな。」と観察するのです。

力が入っている部分を見つけて、ただ見る。」
ということをすると、自然と力が抜けていきます。
楽な動きとは、人間が本来するはずの自然な動きです。

つまり、「私たちの体は正解の動きを元々知っている」はずなのです。
それを、頭で考えた余計な考えで阻害してしまっている可能性があるのです。
ですから、「悪い部分を特定する」ことで、体を自然と良い動きに近づかせる事が出来るのです。

なるべく全身の動きの連動を見てみるようにしてください。
手首だけを動かす時にも全身を感じて見るのです。

一箇所に意識しすぎると、その部分に負担がかかりよくありません。
表面上、手首のみが動いている時は手首に意識を持っていくと手首の負担が大きくなります。
こういう時は「手首を意識するのではなく、全体を見るようにしてください」

「全体が調和して動いた結果、表面上手首だけが動いている。」
という状態を作り出したいのです。
全身は連動しています。
表面上、背中や胸の筋肉は動いてなくても連動しているのです。

全身の各部を歯車のようにイメージしてみてください。
もし、背中や胸の歯車が動いてなかったら、それと繋がっている手や指の歯車の動きは悪くなります。
連動して協調して動く事が大切です。

下手に腕だけを意識しすぎると、「とりあえず出来てる」といった小手先の動きになる危険性があります。
特に腕は動かしやすいので、腕のみに頼った動きになりがちです。
なるべく腕に頼らずに「手首を動かす為の最善の体の動きを見ることによって探る」のです。

見る

 

意識せずに体に任せる

ドラムをしていて腰が痛くなった事はあるでしょうか?
それは無理に背筋を伸ばそうとして腰の緊張によって上半身を支えているからかもしれません。
そうしてしまうと腰のみに負担がかかってしますのです。

これを防ぐには上半身を「不安定」にさせてみることです。
骨盤の上に乗っている上半身がフラフラしているイメージです。

上半身をフラフラさせることで、体全体でバランスを取ろうとするので腰だけに負担がかかりません
腰一点で支えていたものを上半身全体で協力してバランスを取るイメージです。
慣れてくれば表面上フラフラはしません。
ですが体の中では不安定な上半身を上半身全体でバランスを取っている状態を作り出せます。

人間はとっさの時に「正解の動き」をすると言われています。
何か危険が迫った時(何か飛んできたり)は、反射的に体が反応するはずです。
自分でも驚くようなスピードで体が動いた経験はありませんか?
つまり、「意識」が外れた時に最も効率の良い動きをしているのです。

「頑張らねば」とか「正解の動きをせねば」と思うほど、余計な意識が働いて体が硬くなってしまう危険があります。
「背筋をまっすぐに」と言われると背筋を緊張させて、余計体がきつくなるのです。

逆に不安定な状態に体を追い込めば、体は正解の動きでバランスを取るしかなくなります。
バランスボールがいい例だと思います。
不安定なボールの上に座ることで、最も効率的な座り方ができるのです。

バランスボール

まとめ

体のどこか一部分でなく全体を使って動作することで、負担なく楽に自然に動くことができるようになってきます。
体の各部みんなで負担を分け合うのです。
そのためには体の動きを感じることが必要です。

しかし、同時に「意識しすぎてはいけない」という難しさもあります。
意識しすぎると「クセ」が出てしまい、体は緊張してしまいます。

正しい体の使い方は一長一短で身につくものでもありません。
また、いつおかしな癖がつくかも分かりません。

一生かけて、体の動きを見つめ続ける必要があります。
時々自分の体に注意を向けて、間違った使い方をしてないか確認してみましょう。


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