「ザ・バンド」の偉大なドラマー兼シンガー
リヴォン・ヘルムはアメリカ南部ロック「ザ・バンド」のドラマーでボーカリストでもあります。
ドラムを叩きながら歌ういぶし銀の姿は多くの人の支持を集めました。
「ローリングストーン誌が選ぶ史上最も偉大な100人のドラマー」第22位。
リヴォン・ヘルムのプロフィール
1940年5月26日〜2012年4月19日(満71歳没)
アメリカ アーカンソー州 マーヴェル出身
ジャンル:ロック、フォーク、ブルース、
農家を営む家に生まれたリヴォン・ヘルムは、9歳の時にギターを始めます。
多くの人と同じようにエルヴィス・プレスリー、ジョニー・キャッシュらに憧れたリヴォンは、ジェリー・リー・ルイスのライブで叩いていたジミー・ヴァン・イートンのドラムに感銘を受け、ドラムを始めます。
高校を卒業するとリヴォンは「ホークス」というバンドに加わります。
ホークスはロニー・ホーキンズのバッグバンドで、ホーキンズがカナダに拠点を移したためホークスもカナダへ移りますが、リヴォン以外のメンバーがホームシックにかかり脱退。
そこで現地のカナダ人をメンバーに入れて新生ホークスを結成します。
新生ホークスは1965年にボブ・ディランのバッグバンドを務め、知名度を獲得していきます。
そして、1968年にバンド名を「ザ・バンド」と改名して『ミュージック・フロム・ビッグ・ピンク』でデビューします。
アメリカ人1人とカナダ人4人によるアメリカ南部のルーツミュージックを反映したロックサウンドは人気を博します。
しかし、1976年にバンド内の軋轢が原因で「ザ・バンド」は解散。
リヴォンはその後ソロプロジェクトとしてドクター・ジョン、スティーヴ・クロッパーら豪華メンバーと「RCOオール・スターズ」を結成。
さらに1983年に「ザ・バンド」を再結成(衝突していたギターのロビー・ロバートソンは不参加。)したり、俳優業にも挑戦するなど精力的に活動します。
しかし、1996年に喉頭ガンを発症。
歌うことは難しくなっていたが、28回もの放射線治療を乗り越え奇跡の復活。
2007年のソロ作「Dirt Farmer」では2008年の第50回グラミー賞「ベスト・トラディショナル・フォーク・アルバム」を受賞しています。
その後も精力的に活動を続けますが、2012年にニューヨークの病院にて癌のため亡くなりました。71歳でした。
リヴォン・ヘルムのプレイスタイル
リヴォン・ヘルムは何といっても歌いながらのプレイが最高です。
心のこもった歌とドラムは一体となって、リヴォンの世界観を作り上げます。
アメリカ南部のルーツミュージックを思い起こさせる音楽は、文化の違う日本人でも望郷の想いを巡らすことが出来るほど叙情的です。
「ローリング・ストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100人のシンガー」において第91位に選ばれた歌唱力とシンプルなドラミングは、多くのミュージシャンに影響を与えました。
歌うドラマーの先駆者の一人で、多くのドラマーがリヴォンに憧れてボーカルにも挑戦するようになりました。
独特の顔の角度と表情で、そのいぶし銀の渋さは憧れの的となりました。
人格的にも素晴らしく、来日時に新幹線が広島近辺を通過した際は、一人デッキで黙祷していたそうです。
多くの音楽仲間からの信頼も厚かったリヴォン・ヘルムは偉大なミュージシャンでありました。
リヴォン・ヘルムの動画
「ザ・バンド」の代表曲「ザ・ウェイト」。渋すぎます。
ラストコンサートの様子。情熱的な演奏です。
2009年の演奏です。喉頭癌を患っていたとは思えない歌声です。
Dirt Farmerから。望郷の想いにかられる曲です。
ドラムプレイ解説動画です。左手はスティックを逆さに持って演奏しています。
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