「ヘッド・ボイス・テクニック」という言葉を聞いたことあるでしょうか?
この考え方はドラムを叩く上で、いえ楽器を演奏する上でとても大事なことです。
もしこの考え方を知らないのであれば、あなたの演奏は表現力の乏しい物足りないものとなるかもしれません。
今回は「ヘッド・ボイス・テクニック」の考え方を学んで、表現力の向上を目指しましょう。
ヘッド・ボイス・テクニック
「ヘッド・ボイス・テクニック」とはいい演奏をするための工程のようなものです。
ヘッドから始まり、ボイス、そしてテクニックと移っていくことで効率良くドラムの上達を目指せます。
それでは順番に説明していきます。
ヘッド
まずヘッドとは頭で音楽を理解することです。試しに好きな曲の好きなパートを聞いてみましょう。
その音楽がどういうリズムでどういう音色でどういうハーモニーでどういう強さで演奏されているか等を理解するのです。
例えばジャズの曲のピアノパートを聞いてみましょう。その中の自分が気になったフレーズを分析してみます。
そのフレーズは何拍子の音符をどう弾いているのか、どういう音色で弾いているのか、どういうダイナミクス(強弱)で弾いているのか、他のパートとどういう関係性なのか、どういう気持ちが込もっているのか、等、なるべく細かいところまで理解することです。
そのためには何回も何回も同じこところを集中して聞く必要があります。聞けば聞くほど新たな発見があるはずです。
「芸術は発見の積み重ね」です。
これ以上ないというところまでそのフレーズを分析してみてください。
「なぜこのフレーズは格好良く聞こえるんだろう。」「なぜこのフレーズは心が高揚するのだろう。」ということに注意して、演者がどんな表現方法を使っているかに意識を集中しましょう。
実際に演奏する時はこの頭の中にある音楽以上のものは出てきません。
ただのフレーズパターンでなく、最高の音楽が頭の中で再現できるところまでやりましょう。
音楽を聴くときにはヘッドホンがオススメです。
予算があれば、細部の細部や空気感まで聴ける様ような音の良いものを選びましょう。
ドラムを叩くタッチまで伝わってくるような、そんなヘッドホンで聴ければ文句ありません。
予算がなければ、イヤホンでもいいでしょう。
安いパソコン用スピーカーなどでは多くの表現が失われてしまうので、聴く意味が半減以下になります。
頭の中の音楽イメージも安っぽいものとなってしまいます。
もちろん、生の音楽を間近で聞くことが最高の勉強になるということは言うまでもありません。
生演奏を聴く機会も積極的に作っていきましょう。
下記にオススメのヘッドホンを紹介しておきますので、良ければ参考にされてください。
もし、ドラムが上手くなりたいのであれば良いヘッドホンは必須アイテムです。
ゼンハイザー HD700
高音質ヘッドホンといえばゼンハイザー(Sennheiser)で間違いないでしょう。
HD700(7万円前後)で聞けば、ドラムの細部の表現まで聞き取ることができます。
上位機種のHD800(19万前後)が買えるなら文句なしですが、さすがに高いですね・・・。
また、一つ下のHD650(4万5千円前後)は定番人気機種で、これでも十分の高音質と言えます。
今までとは違ったリスニング環境を体験できる一品です。
ソニー MDR-1A
現実的に買える値段帯としておすすめなのはSONYのMDR-1A(2万5千円前後)です。
ハイレゾ音源対応の超人気機種で、コストパフォーマンスに優れ、オールマイティな能力の高さがあります。
このレベルの音質であれば、十分に音楽イメージを高めることが出来ます。
私はこれを持ち運んで色々なところで聞いています。
ソニー MDR-EX650
イヤホンではSONYのカナル型イヤホンMDR-EX650(7千円前後)がオススメです。
万能型のイヤホンで綺麗な音が聴けるので、コストパフォーマンスの高いイヤホンです。
予算がなければこの辺りから始めると良いでしょう。
ボイス
ボイスとは頭の中の音楽を声に出して再現することです。
声に出すことで頭の中にある想像物が現実のものとなります。
現実のものとすることでより理解が深まります。
そして、なるべくその楽器の音を忠実に再現できるように声に出してください。
なんとなくではいけません。音色、リズム、ダイナミクスを忠実に声で再現するのです。
こうすることで、より細かいことに気づけます。
また自分の声を聞くことで、自分のイメージがいい演奏になっているかの確認ができます。
このボイスの工程をはぶいてしまうことが日本ではよく見られますが、とても大切なことなのでしっかりと練習しましょう。
また、注意点として「日本語」で歌わない様にしてください。
「ドン、タン、ドド、タン」などと歌ってしまうと、日本語的な少し平べったい表現になってしまいます。
歌うのには英語の方が適しています。
英語の方が、日本語より抑揚がついて何だか格好良く聞こえますよね。(英語の方が優れた言語と言っている訳ではありません。あくまで音を表現する場合においてです。)
母音言語の日本語より子音言語の英語の方が、ドラムの表現には適しているでしょう。
「doon,tun,dodo,tun」のようなイメージで歌う様にしましょう。
テクニック
最後の「テクニック」とは、ボイスで出した音を楽器で忠実に再現することです。
ピアノのフレーズをドラムで再現してみましょう。
もちろん全く同じ音にはならないですが、限りなく忠実に再現することです。
どう叩けば自分が出してるボイスのような表現ができるかを追求するのです。
スネアを叩くのか、タムなのか、シンバルなのか?どんな強さで叩くのか?どんなアタック音やサステインがいいのか?
それを追求することで表現力が桁違いに上がっていきます。
たったワンフレーズを追求するだけでも、自分の中で大きな発見ができると思います。
そのワンフレーズの中には様々な「タイミング、リズム、ダイナミクス、音色」等、多くのものが詰まっています。
それらを追求してみてください。
ジャズでは「ドラムはメロディ楽器だ」と言われたりもします。
ピアノや管楽器などのメロディ楽器を分析することで、今まで気づかなかったことにも沢山気づきます。
ドラムをただのリズム楽器として終わらせないようにしましょう。
新しいことに気づけば自分の演奏は全く別のものと変化していきます。
逆に気づきがなければ、演奏を変えていくことは大変難しいのです。
まとめ
「ヘッド・ボイス・テクニック」とは気づきを表現するための工程です。
「芸術は発見の積み重ね」です。
自分の知らなかったことを知るということは楽しいものです。
その小さな発見、楽しみを積み重ねていってください。
その小さな積み重ねが人の思いもよらない量になって表現された時、人は感動するのだと思います。
自分が全く未知のものを圧倒的に見せられた時に人は感動します。
そんな演奏ができるよう、ぜひ小さな発見を積み重ねていってください。
私も一生かけて精進していこうと思っています。
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