ジャズドラマー

マックス・ローチ〜Max Roach〜

モダンジャズドラムのパイオニア

マックス・ローチ(Max・Roach)ビバップジャズドラマーの先駆者の一人として、モダンジャズドラムの礎を築いたパイオニアです。演奏でも思想でも自分を表現することを恐れなかった伝説のドラマーです。

マックス・ローチのプロフィール

1924年1月10日〜2007年8月16日(満83歳没)
米国ノースカロライナ州ニューランド生まれ
ジャンル:ジャズ、ビバップ、フリージャズ

マックス・ローチは10歳のころからドラムを始め、18歳の時には伝説のミントンズハウスなどでジャムセッションに参加していました。チャーリーパーカーディジーガレスピーケニークラークなどと共にビバップの夜明けを支えた一人です。
自身のリーダーアルバム発表やビバップオールスターアルバムへの参加など、常にビバップシーンの中心ドラマーとして活躍していました。

またクリフフォード・ブラウンとの2大看板クインテットバンドでは、かなりの人気を獲得しましたが、クリフォード・ブラウンとピアノのリッチー・パウエルが不慮の交通事故で帰らぬ人となってしまいます。
この出来事に非常にショックを受けたローチは、薬やアルコールに手を出す日々もありました。

その後1960年ごろからは公民権運動にも参加し始めます。黒人として、当時不当な差別を受けていたマックス・ローチは自らの音楽を通して異を唱えたのです。
これは非常に勇気のいることだったと思います。ローチはすでに地位のある人物だったので、公民権運動に参加することは下手すればミュージシャンとしては命取りになる行動です。

しかし、おかしいと思うことには「おかしい」と言うことを恐れず、「ウィ・インシスト」という人種差別に反対するアルバムを発表します。これには、もちろん「音楽に政治を持ち込むな」など批判も集まりましたが、彼はそんな批判には負けませんでした。
音楽とは本来自分を表現するもののはずです。「〇〇はしてはいけない」などということ自体がナンセンスなのかもしれません。表現者として自分が正しいと思うことをしたマックス・ローチの行動は多くの人に勇気を与えました。

マックス・ローチのプレイスタイル

マックス・ローチは最初にドラムをリズム楽器からメロディ楽器に昇華させた一人ではないでしょうか。リズム楽器でありながら、メロディが聞こえてくるようなドラミンングセンスは彼の特徴です。また、挑戦者らしく色々な表現方法を常に試しています。
その姿勢が長きに渡ってマックス・ローチが大一線で活躍できた理由ではないでしょうか。

また技術的にも、もちろん素晴らしく、クリフォード・ブラウンとの「チェロキー」では高速ドラミングも披露しています。また、ハイハットワークは特徴的で、教則本にもマックス・ローチスタイルのハイハットワークが良く掲載されています。
後のドラマーたちに与えた影響は計り知れず、まさに伝説のドラマーと言えます。

マックス・ローチの動画


ロングドラムソロ。テクニック的にすごいというよりも深みのある演奏。思わず引き込まれる。


「Mr.ハイハット」と言われたマックス・ローチのハイハットパフォーマンス。モダンジャズドラムのパイオニア。


音声のみになるがクリフォード・ブラウンとの「チェロキー」。超高速ドラミング。


1964年。この時の奥さんのアビー・リンカーンとの共演。公民権運動に参加していた頃。


1992年、68歳の時の演奏。少しロックな感じもありかっこいい。


歴史的なトリオと言われたデューク・エリントン、チャールス・ミンガスとのアルバム「マネー・ジャングル」。とにかく格好いい。おすすめは12:30〜キャラバンと20:20〜マネー・ジャングル。


>>次のドラマー→『ルイ・ベルソン 〜ビッグバンドジャズドラマーの巨星〜』

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