ロックドラマー

ジョン・ボーナム〜John Bonham〜

史上最も偉大なロックドラマーの一人

ジョン・ボーナム(John Henry Bonham)、通称ボンゾは英国の伝説的ロックバンド、レッドツェッペリン(Led Zeppelin)のドラマーです。
彼は現在のハードロックドラミングの礎を築いた人物として、最も偉大なドラマーの一人と言われています。
「ローリングストーン誌が選ぶ史上最も偉大な100人のドラマー」第1位。

ジョン・ボーナムのプロフィール

1948年5月31日生まれ(満32歳没)
英国イングランド ウスターシャー州レディッチ出身
ジャンル:ロック
身長:179cm

ボーナムは5歳にして、ジャズドラマーのバディリッチやマックスローチ、ジーンクルーパのモノマネをしていたそうです。15歳の時に初めてドラムセットを入手します。
ドラム演奏はまわりのドラマーからのアドバイスは受けたようですが、正式なレッスンは受けたことがないそうです。当初はバンド活動を行いながら、大工の見習いとしても働いていました。
しかし、バンド活動を続ける中、ドラマーとして生きることを決意したようです。この辺りは日本でもよく聞く話ですので、親近感が湧いてきますね。

この頃に、後のレッドツェッペリンのボーカルで旧友でもあるロバート・プラントのバンドにも参加しています。そして、新しいバンドメンバーを探していたギタリストのジミー・ペイジはボーカリストにロバート・プラントを迎えます。
そしてボーナムはプラントによってペイジに紹介されます。ボーナムの演奏を聴いたペイジはすぐに気に入りバンドに加入させようとしますが、ボーナムは気が進まなかったようで交渉は難航しました。
結局プラントの粘り強い説得がありボーナムはバンドに加入することになったようです。ここにベースのジョン・ポール・ジョーンズを入れた4人が後のレッドツェッペリンです。

ジョン・ボーナムのプレイスタイル

ジョン・ボーナムのドラムはとにかくパワフルです。音が大きく、これぞハードロックドラムだと言わんばかりの叩き方をします。しかし、ただ単に音が大きだけでなくフレーズの作り方も革新的なものでした。
もしかしたら、ボンゾの演奏を聞いて「普通じゃない?」とか「教則本に書いてあるようなフレーズだな」とか思うかもしれません。実はこれがボーナムのすごさです
なぜなら現在のハードロックドラミングの「普通」を作ったのがボンゾだからです。彼がいなければ今日のハードロックドラミングはなかったかもしれません。
「教則本のような叩き方」ではなくてジョン・ボーナムの叩き方がお手本になったのです。それが彼が偉大なドラマーと言われる理由の一つです。

ボーナムのソロを聞いていますと、ストーリーが聞こえてきます。それはジョン・ボーナムという一人の人間を全てドラムにぶつけてるようなドラムソロだからです。
ボーナムは多少リズムがよれたりもしますが、それがカッコイイのです。不思議ととても惹きつけられるのです。何でも出来る完璧なエリート人間よりも、欠点はあるが魅力的な人物に魅かれるのと一緒ではないでしょうか。
技術、魂、人間性、アイデア、それら全てが魅力に溢れたドラマーだと言えます

ボーナムの特徴的なフレーズにバスドラの3連符の頭抜きフレーズがあります。とても速いですがツーバスでなくワンバスで叩いています。「グッドタイムス バッドタイムス」などで聞けますが、ボーナムの頭抜き3連符を聞いていますと、ジャズの影響を感じます。
バディリッチなどに憧れていたそうなので、ボーナムのタイム感などはジャズから来ているかもしれません。現代のハードロックドラマーがレッドツェッペリンをコピーしても中々ボーナムのような音にならないのは、ここに秘密があるかもしれません。
かと言ってジャズドラマーがボーナムのように叩くことにも無理があります。ボンゾはジャズドラムとロックドラムのハイブリッドを本当の意味で実現できた数少ないドラマーの一人ではないでしょうか。

レッドツェッペリンphoto credit: group2 via photopin (license)

ジョン・ボーナムの使用機材

ドラムセットはラディック(Ludwig)でタムは一つ。フロアタムを2〜3つ。シンバルはパイステ(Paiste)を使用していました。
その中でも何と言っても26インチバスドラムがボンゾの象徴となっています。このバスドラムをノーミュートで使うのですが、これはとても扱いにくく難しいことなのです。
かなり大きな音でヘビーなリズムを作っていたので、どんな踏み方をしていたのだろうと気になります。椅子の座り方を見るといたって普通です。体格もいい方だと思いますが身長179cmはイギリス人としては普通です。

さらにすごいのはペダルはラディックのスピードキングを使っていたというところです。このスピードキングは現在ハードロックドラムで良く使われるペダルとはかなり違います。
まずアンダープレートががっしりしていない為、力任せに踏むと不安定になります。またスプリングの跳ね返りがかなり強いのでコントールも難しいペダルです。
ボーナムはビーターを一番長くセットして使っていたようです。このことから、おそらくパワーというより技術であのバスドラムの音を出していたのではないかと思います。

人間性

ボーナムはかなり破天荒な性格だったようです。特に何かを破壊するということが当たり前だったようで、ホテルの壁を壊して隣の部屋に侵入するなどの逸話が残っています。その一方で家族はとても大切にしていたようで、ツアーにより家に帰れないことに苦しんでいたそうです。

そんな性格もあってか、かなりの大酒飲みでした。彼はその酒が原因で32歳という若さでなくなってしまいます。飲みすぎて、睡眠時に吐瀉物が喉につまり窒息死したのです。
ジョン・ボーナムという偉大なドラマーを失ったレッドツェッペリンは、その2ヶ月後解散してしまいます。ジミー・ペイジは「レッドツェッペリンは即興の多いバンドだった。だからボンゾ以外ではレッドツェッペリンの音楽を再現することは不可能だった」と語っています。
今日のハードロックの礎を築いた伝説のバンドは悲しき最後を迎えたのでした。

ジョン・ボーナムに影響を受けたドラマーは数知れません。ジョーイ・クレイマー。リー・カーズレイク。トニー・トンプソン。デイブ・グロール。トミー・リー。ピーター・クリス。チャド・スミス。デイブ・ロンバード。ブラッド・ウィルク。Yoshiki。真矢。フィルコリンズ。

またRolling Stone誌LAウィークリー誌などの多くの音楽雑誌で最高のドラマーに選ばれています。まさに史上最高のドラマーの一人と言えるでしょう。

ジョン・ボーナムの動画


最も有名なモービー・ディックの演奏。ハードロックドラムの全てが詰まったようなドラミング。


ライブ映像の一コマ。ユーチューブで見れる映像としては画質と音がいい。


ウォームアップの時の貴重な音源。リズムの揺れは少し気になるがバスドラムの重厚な音はさすが。


「Immigrant Song(移民の歌)」のビデオ。このバスドラムのフレーズはロックドラマー必須。


「グッドタイムス、バッドタイムス」。0:23ごろからバスドラムの3連符の頭抜きフレーズが聞ける。軽やかです。


こちらはモービー・ディックの別バージョン。イメージ映像が邪魔だがたしかにそんなイメージ。6:35〜部分も必見。


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